ユカサントリーニの煩悩

Some Kleshas of Yuka Santorini

THE 1975のフロントマン・Mattyによる一連の騒動について拡散された要約の修正・レスバ・お気持ち表明など

先週の土曜日の夕方に目を疑うようなニュースがTwitterのTLに流れてきました。前回の記事でも軽くdisったTHE 1975のフロントマン・Matthew Healy (通称Matty Healy)が差別的なPodcastに出演し、その差別発言の対象に日本人が含まれていたというものです。以前からロンドンの自宅を日本人建築家に依頼したり、漫画のAKIRAや戦後の美術運動である具体派が好きだと公言したり、何よりTHE 1975の4枚目のアルバムに収録されているGuysという楽曲内で"The first time we went to Japan was the best thing that ever happened"  = 初めてバンドで日本に行った時のことは(人生に起きた)最高な経験だ、とまで歌っている彼に何が。すぐにPodcastを聴き、内容を確認いたしました。番組側に広告収入に繋がる再生回数を稼がせたくないので動画のリンクは貼りません。何が起きたか気になる方はフロントロウの記事が詳しいのでそちらをご覧ください。だいぶ不快な気分になるので、どうしても聴きたい人は自己責任で検索してみてください。

SABI (侘び寂び?)タトゥーを披露するMatty

 

実際に聞いて内容を確認できた私はすぐその動画のコメント欄に私と同様に動画を確認しにきた日本人向けに日本語の要約を書きました。すると、それを見つけてくださった方(フォロワーが多い方)が私の要約のスクショをして拡散して下さりました。が、要約の仕方が分かりにくかったのと、拡散された影響で私の内容の書き方が不適切であるというご指摘もいただき少し修正したいと思ったので現在記事を書いています。

 

要約の修正

 

まずこちらが拡散されたスクショです。(現在は指摘していただいた複数箇所を直し、編集済となっています。)

 

f:id:yukasantorini:20230214225222j:image

 

まず、声を大にして言いたいのはこちらの発言はほぼ全てホストによるもので、「日本人看守のモノマネやってみてよ」だけがマッティによる発言になります。マッティを擁護しているわけではなく、この全ての発言がマッティによるものという誤解が生まれないよう理解いただきたいです。発言してないけど出演して笑っているだけで同じくらい悪いのですが。

 

 

また、韓国人に対する差別の話を謎発言と書いてしまったことで、その存在を否定していると一部の方に捉われてしまったのですが、日本における韓国人や韓国系に対する差別の存在を否定するつもりは一切ありません。わかりやすい例を挙げると、山上容疑者が逮捕されたときに一部の界隈から在日による犯行だと言われてましたが、後に山上容疑者が過去に在日を差別するツイートをしていたことが発見されていることから彼はおそらく日本人で、この犯罪者=在日という日本に存在する醜い陰謀論は差別以外の何でもなく、ホストたちはある意味正しいです。「謎」と書いてしまった背景はこちらの追記をご覧ください。

 

f:id:yukasantorini:20230214225233j:image

 

番組のファンとレスバに発展

また、日本語の要約を書いたところ、大好きな番組のコメント欄を荒らされたと感じた番組のファンたちから攻撃され、言われっぱなしはムカついたので私も強い口調で反応し、レスバトルになってしまいました。その結果、バトっていた方に今回の番組やdirtbag left(後述)と呼ばれる人たちの本質のようなものを教わりました。彼らの思想(主に皮肉)が見える箇所を太字にします。

 

ファンA:うわマジかよ、中国人まで怒らせちゃった。最高すぎる。ありがとう、アダム。ありがとう、ニック。今月はパトロンに登録して、追加のブルーチーズを買おっと。

筆者:私これ日本語で書いたんですけどww (日本語と中国語の違いが分からないなんて)学がねえな、バカがよ。

ファンB:(このジョークを理解できない私に対する)あなたが面白いって感じるものって何...純粋に気になる

筆者:お前の母ちゃんの葬式

ファンC:中国人の農民を虐殺してそれを否定すること(日本が南京大虐殺を否定しているということを皮肉ってるリプライ)

筆者:アメ公どもは広島と長崎の無実な人たちを20万人殺すのが面白い...ってコト?気になる:)

ファンC:私はアメリカ人ではなくギリシャ人です。平等みたいな曖昧なコンセプトを支持しながらジョークを非難して、それでいて虐殺を否定するなんて、なんて完璧なWokismフェミニズムとか反差別とかヴィーガンとか人権意識高い系の運動のこと)の例だろう。

筆者:私は個人的に南京大虐殺を否定しません。日本の公立の学校では、私たちの先祖が戦時中に何をしたかちゃんと教えてくれます。4chan英語圏オルタナ右翼、要はネトウヨたちが集まる掲示板で民度が低すぎるプラットフォーム)で得た事実じゃない情報を信じて日本人を一般化するなんて、あなたの頭の悪さと無知さを物語ってますね。

ファンC:じゃあなんでそんなにジョークに怒ってるの?ユーモアのなさと悪に繋がりがあると思う?ドイツとか、アメリカとか、日本といった国はそういった評判があるよ。冗談が通じないから慰安婦を使わなきゃ、みたいな。

筆者:正直このホストやジョークについてはどうでもいいです。私が怒っているのは、マッティが長いことポリコレを金稼ぎのために利用していただけのマンコ野郎であることが判明し、そのことを英語を話さない日本人の仲間達に共有したかったからです。あなたの好きな番組のコメ欄を荒らしてごめんね。

ファンC:政治的に人種差別に反対しながら、戦争犯罪についての幼稚なジョークを笑うことはできると思うよ。あと君の翻訳が間違ってたね。ホストたちが「イギリス人は英語を喋るからいいじゃん」と言ったのは、イギリスに対する侮辱の意味で言ったんだよ。イギリス人にとって唯一残っているポジティブなことが、アメリカによって普及した言語(訳註:本来英語はイギリスの言語であるはずなのに戦後に力をつけたアメリカによって世界的に需要を得ることができた、という皮肉)とのコネクションだってこと。そして、日本語を喋るのが気持ち悪い奴らだというのは、(訳註:日本人のことではなく)アニメ好きで日本に過剰なまでの幻想を抱いている西洋のキモオタたちってこと。彼らはイギリスの帝国主義の遺産と日本のそれを対比させ、西洋のキモオタたちとイギリス人を馬鹿にしているんだ。君はこの番組のファンじゃないから、この文脈を理解できなかったのは君のせいじゃないけど、知らせておこうと思ったんだ。

筆者:the worst peopleっていうのが西洋の日本かぶれアニメオタクたちのことを指していたのはわかっていたけど、英語についての箇所は正直理解するのが少し難しかったです。文脈を教えてくれてありがとう。元のコメントにあなたの説明を加えておくね。

At least, everybody speaks English = 少なくとも俺たちみんな英語話すじゃん、と解釈して書いてしまったのですが、Everybodyはイギリス人のことを指していたそうです。イギリス人がアメリカ人によって需要を得た英語を話してることが皮肉で面白いというのは番組の常套的なジョークらしく難解でした。というかファンCさん、わざわざ私の日本語のコメントをGoogle Translateで翻訳して読んでたんですね。

 

 

お気持ち表明

私は皮肉が大好きです。皮肉屋の父親に育てられているうちに、自分も皮肉屋になっていまいました。このユカ・サントリーニという馬鹿げた名前も、自分の本名のユカと、いつかギリシャに旅行したいなという思いと、学生ローンや親への借金などギリシャ経済並みに借金まみれであることを皮肉って付けました。日本のお笑い番組は刺激がなさすぎて海外のコメディを好む、そんな私でさえ今回の番組が不快に感じてしまったポイントが2つあります

 

1. マッティは今まで中絶の権利に関するスピーチや反LGBT法に抗議しドバイ公演にて観客の男性にキス、ジェンダーバレランスの取れたフェスにしか出演しない、環境のためにマーチ(バンドの物販)をエコな商品にする、アルバムにグ◯タさんの環境破壊に警鐘を鳴らすスピーチを入れる、などポリコレを利用してきましたが、自身の影響力を省みずにこのような不謹慎で低俗な番組に出演してしまい、炎上するという配慮のないクソ野郎であったことから、今までのポリコレが全部金儲けのための手段であったのでは...?とファンを心配させたこと。

 

2. この番組のホストたちは中道左派(Center-left)またはDirtbag Leftと呼ばれる人たちで、悪露家として有名なコメディアン達らしいです。リベラルな人たちにありがちな政治的な正しさ(ポリコレ)を無視し、尖っていてニヒル、かつ下品な方法で左翼的イデオロギーを伝えるという、何だか日本人には訳の変わらない世界です。強引な方法で日本で例えるならば、最近ネットで話題になった「片親パン」を爆笑しながら、子供達の貧困問題を終わらせようとする思想を持つ人だということになります。そもそもアメリカの政治について無知なため、私自身この文化的背景を理解する上でまだ勉強が必要だと感じました。

 

本記事では主に日本人に向けられた発言について焦点を当てて紹介しましたが、この人たちがこのPodcastのエピソードで攻撃していたのはHarry StylesからKobe Bryant、Ice Spice、スコットランド人、ハワイ人、など日本人以外にもたくさんいます。よく1時間の番組でそこまでたくさんの人を攻撃できたな、と思うのですが、私が日本人についての発言以上にムカついたのが女性に対するものです。私の一番好きなアメリカのコメディ番組サウスパークでは、バカにされる対象は女性も男性も、白人も黒人も、オサマビンラディントムクルーズも、日本の捕鯨シーシェパードも、対称性があり、とにかく全てをバカにします。サウスパークにおいてバカにされない属性の人は恐らくいません。ここに私は公平性を見出し、安心して楽しめるのですが、この人たちは「女どもは月の満ち欠けによって生理になったりするけど、その間に俺たち男は月に行ったんだぜ」と言っています。こんなの、女性からしたらホスト達は女性を馬鹿にしながらマッチョな思想を発露しているだけで、全然面白くないですよね?しかも月に行ったのはホストの手柄ではないのに。このホストから発せられるから隠しきれない優位性(男性として、あるいは白人としてのもの)を伴う言葉からこの番組が不快だなと感じました。また、私のコメントに攻撃してきた人たちが彼らのファン層=dirtbag leftの人たちだと思うので、このシチュエーションや、彼らがどんな人達であるかを理解する上で役に立つのかなと思い、全文シェアさせていただきました。

 

また、Sincerity is Scarty の歌詞では初っ端から And Irony is okay, I suppose, Culture is to blame (皮肉はいいんだよ、文化のせいなんじゃないかな)と歌ってますが、その歌詞の意味が皮肉にも今回の騒動でようやく意味が分かったような気がしました。

 

最後に

今週末は愛しのFontaines D.C.の初来日公演があります。まだ東京公演も大阪公演もチケット発売中とのこと。わたしと一緒に伝説を目撃しましょう!

 

FONTAINES D.C.のチケット情報 - イープラス